音楽制作の現場ではよく使われるけど、用途が少し分かりづらいCompressor(コンプレッサー)について解説していきます。
ここでは主に「コンプレッサーとは?」「どんな機能があるの?」「どうやって使ったら良いの?」という疑問について、実際に画像を用いながら解説します。
この記事で学べること
- コンプレッサーそのものについて1から学ぶ
- DAW搭載のコンプレッサーの見方・基本的な使い方
MIX師兼ブロガーとして活動しているひろです。よろしくお願いします!
Compressor(コンプレッサー)とは
まずCompressor(以後、「Comp」と略します)をそのまま日本語訳にすると、「圧縮機」という意味です。
まさにCompは音を圧縮する機能を持っており、より細かく説明すると「ある特定の音量以上になれば音を圧縮して音量を下げるよ」という機能を持っています。
その「特定の音量」を変化させたり、圧縮量を変えることで楽曲全体の音量の差を埋めるというのがCompの役割です。
DAW搭載のCompの見方と機能説明
ここでは実際にStudio One 6 Artistに搭載されているCompを用いて、その使い方や名称を説明します。
ここでは特に重要なパラメーターを解説します。
Threshold(スレッショルド)
Thresholdは最初にお話しした「ある特定の音量」を調整することができます。
つまり、Compが反応し始める音量をこの値で決めることができます。
そしてここで決めた音量を上回った音量に対して圧縮するという仕組みになっております。
Compが反応しているかどうか判断するには?
ではどのようにして「Compが音源を圧縮している!」と判断するかについてですが、Thresholdの値を下げていくと、音源再生時に中央のメーターと反対側に黄色いメーターが出てくると思います。
これがCompが音源を圧縮しているということであり、メーターの長さが圧縮量を表しております。
Compによって圧縮量の表示のされ方は違うけど、ここをうまく管理できれば使いこなります!
Ratio(レシオ)
比率を調整できるパラメーターですが、これは「圧縮率」を表しています。
画面上では2.0 : 1となっておりますが、簡単に言うと「Thresholdの値を超えた音を元の音量の2分の1に圧縮する」という意味になります。例えば、この値を4.0 : 1に変更した場合は「Thresholdの値を超えた音を元の音量の4分の1に圧縮する」という意味になります。
つまり、比率を大きくすれば大きくするほどより圧縮効果が上がると考えていただければ大丈夫です。
Attack(アタック)
Compの圧縮し始めるまでの時間を調整できます。
例えば「ぱ」と発音するとき、口を開けた瞬間の破裂音は大きな音になります。
この破裂音のダイナミック感はある程度残して、後半だけ圧縮したい!と言う時に、アタックを遅くすることで発音した瞬間の音を圧縮しないよう調整することができます。
Release(リリース)
音源を圧縮し終えるまでの時間を調整します。
例えば「ぱっぱ」と発音したとき、最初に発音した「ぱ」でTresholdで設定した音量を超えて圧縮されたとします。
このとき、
- リリース時間が早い → 次の「ぱ」が発音される前に圧縮されていない状態に戻る
- リリース時間が遅い → 次の「ぱ」が発音されていても圧縮されている状態が続く
このような違いが生まれます。
具体的にどのような音の違いがあるかと言うと、2の場合、2回目の「ぱ」がスレッショルドので設定した音量を超えていなくても圧縮されます(理由:圧縮状態が続いているため)
少し難しい話ですが、ボーカルにCompをかけるとき、リリースは基本的に早めに設定します
Releaseを最大値と最小値それぞれ動かしてみて、黄色いメーターの動きの違いを確認すると分かりやすいです
MakeUp(メイクアップ)
「Compressor(コンプレッサー)とは」で用いた図のとおり、Compは音源を圧縮することで音量の差を埋めることができます。
しかし圧縮している分、全体の音量が下がったように聞こえてしまいます。
その下がった分の音量を、MakeUpを上げることで元の音源と同じ音量に戻すことができます(Compで圧縮していない部分の音量も上がります)
ボーカルに用いるコンプの用途
当ブログはボーカルミックスに特化しておりますので、ボーカルでのCompの主な使い方について少しお話しします。
主旋律を歌うCompの設定として理想の形は、1文字発声して次の文字を発声するまでに、圧縮量を示す黄色いメーターが消えていることです。
つまり、1文字発声する→黄色いメーターが反応する→黄色いメーターが消える→1文字発声する→黄色いメーターが反応する→黄色いメーターが消える→・・・のループを繰り返せることが理想です。
しかし音程や発する言葉によって音量は変化するので、必ずこの通りというのは不可能です。
ただ、1フレーズを通じてずっとCompの黄色いメーター反応しており、圧縮し続けていると言う状態は良くないので、そこだけ注意してください。
Compをずっと圧縮している状態にするのではなく、適度に圧縮している状態が良い設定です。
さいごに 〜違いが聞き分けられるようになること〜
Compはとても奥が深いですが、ミックス始めたての頃はその音の違いをなかなか聞き分けるのは難しいかもれません(僕も最初は意味分かりませんでした…)
しかし使っていくうちに、Compを使うことで得られるダイナミックさ、音の輪郭の変化、空間的配置など多岐に渡る変化を及ぼしており、使うことの重要性が分かってきます。
ミックスには欠かせない要素ですので、何度も使ってその素晴らしさに触れていただきたいです。
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★★この記事を書いた人★★
ひろ
2021年2月よりミキシングエンジニア(MIX師)として活動を始め、300件以上の作品を手がけました。
音楽制作(DTM)は2017年から始めました。
そんな僕が、誰でも「歌ってみた」や「ボーカルミックス」を楽しんで欲しいと考え、このサイトを作りました。
それ以外にも、レビューや健康、体験談など幅広く記事にしておりますので、ぜひ見ていただければ嬉しいです。
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