DTM用語解説

フォルマントとは?〜声を認識する重要な要素〜

2022年9月12日

DTMやボーカルミックスにおいて、ボーカルの印象を変えるためフォルマントという機能が使用されることがあります。音楽制作においては『声を女性っぽくしたり男性っぽくしたりできる』というイメージが強い機能ですが、実際にはもう少し複雑な意味を持ちます。

ここではその複雑さを紐解つつ、実際に声を聞き比べながらフォルマントへの理解を深めていただければ嬉しいです。

この記事で学べること

  • フォルマントについて1から学ぶ。
  • フォルマントの変化による音声の変化(音源付き)

ひろです!MIX師兼ブロガーとして活動しております。MIX師とは

フォルマントとは、周波数のピークのこと

フォルマントについて一言で説明すると、言葉を発する時にできた周波数のピークのことを言います。

また、周波数のピークを、周波数の低い順から「第1フォルマント(F1)、第2フォルマント(F2)、第3フォルマント(F3)…」と言います。

この辺りは文字で見るより実際の波形を見た方が早いと思いますので、初音ミクに「あー」と「ラ:440Hz」の音程で歌ってもらった周波数から、フォルマントを見てみましょう。

初音ミクの声「あー」

その時の周波数分布

いかがでしょうか?

「あ」と発音するだけでもざっとF5くらいまでフォルマントが確認できると思います。因みに、全く同じ音程(ラ:440Hz)で「いー」と発音した場合も見てみましょう。

初音ミクの声いー」

その時の周波数分布

このように、発声する母音によってフォルマントの周波数は全く違います。もちろん「う」「え」「お」でも全く違う周波数になります。

加えて、フォルマントは人物が違えば同じ音程、同じ発音でも異なるので、フォルマントからその人の声の個性や魅力を把握することができます。

まとめると

  • フォルマントとは、言葉を発する時にできた周波数のピーク。
  • 発する母音、音程、人物によってフォルマントは変化するので、特定の人物の声の個性や魅力を把握することができる。

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実際の変化を聞いてみる

それではここからは、実際にボーカルのフォルマントを変化させた音声を聞いてみましょう。

今回使うフォルマント機能は、「Melodyne 5 assistant」のものを使用します。

定番ピッチ補正ソフトウェア。直感的なボーカルの補正等を実現します。

まずは変化させる前の歌声を聞いていただければ幸いです。分かりやすいようにカラオケ音源はかなり小さくしております。

元音源

楽曲:バルーン/シャルル

ではまずはフォルマントにより「女性っぽさ」を増した声を聞いてください。

女性っぽさ付加

そして更に「女性っぽさ」を強くすると、ヘリウムを吸ったような声になります。

女性っぽさを更に付加

この声をうまく活用することで、有名な楽曲「なにやってもうまくいかない」の高い声を作ることができます。

それでは次に、「男性っぽさ」を増した声を聞いてください。

男性っぽさ付加

そして更に「男性っぽさ」を強くすると、モンスターのような声になります。

男性っぽさを更に付加

この声をうまく活用することで、「偽物人間40号」の3:00周辺『人間なんで』の部分を作ることができます。

このように、ボーカルのフォルマントを変化させることでその曲の雰囲気に合った声を作り出すことができます。

ただ、フォルマントを上下するだけではサンプルで流した音源のように違和感ゴリゴリMAXになってしまうので、しっかりミックスにより作り込む必要があります。

フォルマントによる声の作り込みは高難易度ですが、挑戦してみると色々面白い発見があると思います!

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フォルマントを調整できるソフト

ここではフォルマントを調整できるソフトウェアやプラグインの代表的なものを紹介します。

Melodyne(assistant以降)

定番ピッチ補正ソフトウェア。直感的なボーカルの補正等を実現します。

業界シェアNo.1のボーカル補正ソフト「Melodyne」であれば、自由自在にフォルマントを調整することができます。

ただし、エントリーの「essential」ではフォルマント機能がないので、フォルマントを使用したい場合は「assistant」以上のモデルを選びましょう。

Melodyneについては、機能や実際に使ってみた記事も書いておりますので、もし良ければご覧ください

▼Melodyneの使い方・機能を解説した記事

参考ボーカル補正ソフトMelodyne(メロダイン)とは?画面の見方や機能について解説します

続きを見る

▼Melodyneでボーカル補正をした記事

参考【男性編】初心者向け!Melodyneを使ったボーカル補正のやり方を解説します

続きを見る

参考【女性編】初心者向け!Melodyneを使ったボーカル補正のやり方を解説します

続きを見る

Cubase Vari Audio

Cubase付属のVari Audioを使用すれば、ボーカル補正はもちろんフォルマントシフト機能によりフォリマントを変化させることができます。

ただし、Vari AudioはCubaseの最上位モデル「Pro」にしか付属しないため注意が必要です(単体での購入も不可です)

外部プラグインを買い足すことなくCubaseだけで完結できるのは魅力的です!

MAutoPitch(フリー)

最後に紹介するのは、フリープラグインのMAutoPitchです。自動補正プラグインであり、ケロケロボイスを作成することができるのに加え、フォルマントを調節することができます。

無料なので、お試しで機能を触ってみると面白いと思います。

→ダウンロードはこちら

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さいごに

ここでは「フォルマントとは?」「フォルマント機能を使用した実際の声の変化」「フォルマント機能を有するソフトウェア」について解説しました。この記事をきっかけに少しでもフォルマントに関する知識を身につけることができたら嬉しいです。

また、ここではフォルマントの概要しかお話しできませんでしたので、ボーカルミックスでのフォルマントの使い方を実践的に解説した記事を別途作成しました。

参考ボーカルミックスでのフォルマントの使い方を実践的に解説

続きを見る

もし興味があればこちらも見ていただければ嬉しいです。

以上でフォルマントの解説は終了です。

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★この記事を書いた人★

ひろ

2021年2月よりミキシングエンジニア(MIX師)として活動を始め、300件以上の作品を手がけました。
音楽制作(DTM)は2017年から始めました。

そんな僕が、誰でも「歌ってみた」や「ボーカルミックス」を楽しんで欲しいと考え、このサイトを作りました。

それ以外にも、レビューや健康、体験談など幅広く記事にしておりますので、ぜひ見ていただければ嬉しいです。

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