ボーカル補正って実際のところ何ができるの?
歌ってみたや生歌でオリジナル楽曲を制作している方にとって、ボーカルの処理は悩む方が多いと思います。
そこでここでは「ボーカル補正でできること、できないこと」について解説します。
「できないこと」に記載する内容は録音の時に気を付けていただく必要がありますので、ぜひ歌い手さんにもみていただければ嬉しいです。
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MIX師兼ブロガーとして活動しているひろが解説します。
ボーカル補正でできること、できないこと
最初に、できることできないことをまとめましたので、忙しい方はここだけでも見て下さい。
できること
- 音程、リズム(タイミング)修正
- 曲全体のボリューム調整
- ハモリの作成
- 微小なノイズの除去
できないこと
- 感情表現、抑揚などの表現力
- 滑舌を直す
- こぶしやビブラードなどの技術
- 音割れ、部屋鳴り
以上になります。
次の項目からそれぞれについて細かく解説しますので、よろしくお願いします。
できること①:音程、リズム修正
「ドと歌わないといけない箇所をちょっと高い音程で歌ってしまった!」このような音程のズレはボーカル補正で直すことができます。
また他にも、「歌い始めが合わなかった」「サビがかけ足気味に歌ってしまった」なども補正可能ですので、多少のズレであればそこまで気にする必要はありません。
ただし、音程がズレすぎているとロボット声(ケロケロボイス)になってしまう可能性があるので注意です。
できること②:曲全体のボリューム調整
歌い方によってはどうしてもAメロやBメロで声が小さくなり、サビでグッと大きくなるということがあると思います。
「音量を均一にしないとミックスできない」ということはないので、ボリュームの差は気にする必要はありません。
むしろボリュームを一定にしたいがために、サビだけマイクからの距離を遠くしたり、ゲインを調整すると逆にミックスしづらくなりますので、同じ設定、同じ位置で1曲歌唱してください。
できること③:ハモリの作成
「ハモリは難しくて歌えない」と言う方でも、ボーカルを編集することでハモリを作ることができます。
実際のところ、僕がミックスした歌ってみた作品も、ハモリを作成しているものが数多くあります。
ただ作成するハモリは、多少の「作った感」が出てしまうので、可能であればハモリは録音された方が良いと個人的には思います。
相談してもらえればハモリのガイドボーカルを作ることもできるから、ぜひ相談してね
できること④:微小なノイズ
録音時に発生する「プチッ」という小さなノイズや、歌うときに発生するリップノイズ(口を開けたり舌を動かしたりする時に発生する「ぺチャ」というような音)であれば、編集により除去することができます。
このようなノイズは意識してないにも関わらず発生することもありますので、もし不安な点があれば一度MIX師に相談すると良いです。
またもし「自分でノイズ処理してみたい」という方はiZotope社のRXシリーズを使用すると、その効果を発揮できると思います。
OBSで配信している人ならこれを使えばリアルタイムでノイズ処理できるのもすごく便利です!
次からはできないことを書いていきます。
できないこと①:感情表現、抑揚などの表現力
「泣いて歌っている感じにして下さい」「○○のフレーズは気持ちの込もった声にして下さい」
上のようなお願いを受けてもボーカル補正で作り出すことはできません。
録音の段階で、自分が一番気持ちの良いと感じる表現力で歌っていただく方が作品にも愛着が湧くと思いますので、ぜひ気を付けていただければ幸いです。
できないこと②:滑舌を直す
「○○の部分は舌が回らなかったので、編集で直して下さい」
と言われても、残念ながら不可能です。
滑舌が悪いと感じる部分は、問題ないと感じるまで録音する必要がありますので注意して下さい。
できないこと③:こぶしやビブラードなどの技術
こぶし、がなり、しゃくり、ビブラードなどの技術的な表現をボーカル補正で追加することはできません。
正確には「できなくなはいけど、かなり機械的になるから技術として格好いいものができるとは言えない」という感じです。
最低限可能な技術は「ロングトーンの長さ調整」くらいだと考えていただければ幸いです。
できないこと④:音割れ、部屋鳴り
まず音割れ、部屋鳴りについて解説します。
音割れとは、「歌声を収録時に、収音できる音量を超えてしまい『バリバリ』というノイズが発生してしまった状態」です。
また部屋鳴りとは、歌声が部屋の壁などに反響し、その反響した声がマイクに収音されることで発生した録音状態」を指します。
録音がこのような状態になっていると、編集では直せない&作品のクオリティを下げることになってしまいます。
改善方法は何個かありますので、悩んでいる方はぜひこちらを見ていただければ嬉しいです。
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参考【保存版】歌ってみたを録音(宅録)するときの注意点を解説
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さいごに
ここではボーカル補正・編集でできること及びできないことについてまとめてみました。
ボーカルを編集する時に覚えておいて欲しいことは「無いものを作り出すことはできない」ということです。
感情表現や抑揚、滑舌などは歌のクオリティや個性に直結する部分であり、ボーカルを編集しても生み出すことはできませんので、練習して素晴らしい作品づくりを心がけて貰えると僕も嬉しいです。
また、ボーカル補正・編集をプロレベルまで身につけたいという方には「Melodyne」というボーカル補正ソフトをお薦めしておりますので、気になる方はぜひ見て下さい!
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参考ボーカル補正ソフトMelodyne(メロダイン)とは?画面の見方や機能について解説します
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★★この記事を書いた人★★
ひろ
2021年2月よりミキシングエンジニア(MIX師)として活動を始め、300件以上の作品を手がけました。
音楽制作(DTM)は2017年から始めました。
そんな僕が、誰でも「歌ってみた」や「ボーカルミックス」を楽しんで欲しいと考え、このサイトを作りました。
それ以外にも、レビューや健康、体験談など幅広く記事にしておりますので、ぜひ見ていただければ嬉しいです。
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